2022.8.27「最近観たもの」

先日「コンビニエンス・ストーリー」を見た。平日の朝しかやっていなかったので平日の朝に観に行ったら、映画館に3人くらいしかいなくてすごかった。

三木聡という感じでよかった。インターネットに触れる前の原初の笑いがそこにちゃんと存在し続けている印象だった。ふせえりが変な髪形をしていただけでもうオッケーだったな。あと嬉しい時とかに突然絶叫して走り出す女性が多くて面白い。インスタント沼麻生久美子もよく絶叫して走り出していた。

ちょっと気持ちが悪く(AIの絵を見ている時の気持ち悪さに若干近い)、不条理さもあり、全然意味のないところで笑いがあるのが良い。

音楽が上野耕路で、なんか見たことがあるなと思ったらゲルニカの人だった。

なんで見つけたのか覚えてないけど、ゲルニカの壮大すぎるオーケストレーションが好きだった時期があった。大学2年生くらいの時だったか、多分P-modelの曲ばっかり聴いていた時期と被ってると思う。なんか演劇でもこういう雰囲気のものにばかり触れていたから、ちょっと飲まれていたのかもしれない。

 

 

あとはおそ松さんの映画を観た。これは本当に観るつもりはなく、いや、見るつもりはなかったが、見るつもりはなかったが、気の迷いで見てしまった。

絵はかわいらしくて良かったし、キャラクターが不当な立場に置かれることもなくて良かった。ファンクラブを開設したり「推し松上映会」を開催しているコンテンツらしい作品という印象だった。

しかし自分が全然笑っていなくて少しショックだった。自分が松のギャグセンスから離れてしまったのかと思ったが、それ以上にそもそもギャグアニメとしての笑いの場面が非常に少なかったと思う。

確かに以前までのシリーズにもみられた風刺のような場面は多くあったが、これは現実に近すぎてあまり笑えなかった(これは時期や自分の精神状態の影響もあるとは思う)。

そしてやっぱり監督が変わったのが……。テンポ感というか、今まではスピード感にまかせて笑えていたような場面がほとんどなかった。かなりゆったりした作品だった。それはそれでいいんだけど、ギャグアニメではなかったな……。

「キャラクターを愛してもらうこと」と「ギャグアニメ」の両立がおそ松さんはなんだか下手だな~と思ってしまう。なぜかというと、そもそもこのアニメにおけるギャグの種類がある程度人を腐すことで成り立ってきた部分があるので……。

そうした笑いを抜きにしても松原秀さんは面白いシナリオを描ける人だと思うんだけど、藤田監督とタッグを組むとどうもそれが発揮できていない印象を受けていた(ので、「なんでもない感じ」というドラマCDでは松原秀の独壇場が見られて結構好きだった)。

今回は「キャラクターを好きな人格」としては大変安心して見られる作品だった。これは出来るだけ継続してほしいと思うが、それでこの作品がギャグアニメでなくなってしまったらと思うと、どう答えることもできない。なんとかうまくやってほしい。信頼できる視聴者からの評判が良ければ見るし、悪ければ見ないので。

橋本由香利さんの音楽はケルト的でかなり良かった。終映直前にこの作品を観に来ている客層はかなり強者と感じたので、逃げるように帰った。

 

あと三谷幸喜が脚本の舞台「ヴァンプショウ」の再再演を観た。これを2022年に再演しようと決めた皆さん、本当にありがとうございます。

三谷幸喜が若者の話を描くことはなかなか少なく、東京サンシャインボーイズという若い劇団員で構成された劇団での作品ですら、登場人物はけっこうバラバラな年齢層であることが多い。そのバラバラ感が三谷作品の良さであると思っているが、「若い大学生の集団」を三谷幸喜が描くと、こんなにすごいことになるということを思い知りました。これって新選組!の時点でわかっていたことではあるが、これを舞台でされると本当にすごいことになる。

「ヴァンプショウ」という作品の名前は中学生の頃から知っていたが、DVDを買ったのは最近で、それもまだ見ていなかった。まさか最初に観るのが生の舞台になるとは思っておらず、上演が決まった瞬間にチケットを買ったらなんだか最前列になってしまった。終盤の展開がすごすぎて目をかっ開いてしまい申し訳ありません。

好きな舞台→うるう・ヴァンプショウ・ノートルダムの鐘・オペラ座の怪人・太陽 ってことかもしれませんね。