瞳をとじて、ほか

2月が一瞬で終わった。なぜなら一つの作品に関する調査研究とヴァイオリンとチェロを弾き続けていたため……

 

・やっと諸々落ち着いた(ここからまた落ち着かなくなるが)ので、ずっと観たかったヴィクトル・エリセの『瞳をとじて』を観に行った。

3時間はかなり長かったので途中意識がもうろうとしてしまったが、良かった。『ミツバチのささやき』もそうだけど、この監督の作品に対して自分がはっきりと言える感想というものはあまりなくて、ただ観ていて良い作品であり、自分が好きな作品であるということがわかる。

映画の中に映画を作る人が出てきたり映画を観る映像が出て来るだけで感動を覚えてしまうので、そういう意味でも良かったし、スペインの空気や乾燥したヨーロッパの建物の手触りのようなものが、『ミツバチのささやき』と共通しているように感じられた。あと音楽がとてもいい。

 

パンフレットを買ったら色々な人が色々な事を書いていたが、別に今は読みたくなったので結局監督の文章だけ読んだ。私がパンフレットで読みたい言葉って批評家や有名人の対談とかではなく、作り手のインタビューだけなんだけど、そんなことないのか。監督の言葉はとても良かった。『エル・スール』も観てみたい。

 

ミツバチのささやき』を知ったきっかけはクラフト・エヴィング商會の『アナ・トレントの鞄』という本だった。その後で好きなチェリストが『ミツバチのささやき』を好きだということを知ったことで作品の輪郭が浮かび上がり、たしかツタヤで借りて観た。

その時はなんだか暗くて何が起きているのかよくわからないという印象だった覚えがある。ただアナ・トレントの瞳だけが強く印象に残っていた。

その後名画座に『ミツバチのささやき』がかかっているのを知り、観に行くとかなり多くの人がいて、この作品が当時とても評判になったらしいということを知った。そこで観た時も途中意識がもうろうとしてしまった気がするけど、レンタルで観た時よりも好きな作品になっていた。

 

瞳をとじて』でこの監督の作品がやはり好きだと感じたので『ミツバチのささやき』ももう一度観たい。でも2月を忙しくしていたら、名画座での上映が終わってしまった。映画館で観たい。

瞳をとじて』も本当はもう一度観たいが、朝9時からやっている劇場しかなくて、難しそうだ。朝9時から3時間映画を集中して観るのは難しい。

 

 

・梨木果歩の『エストニア紀行』を読み終えた。数年積読していたのをようやく。今その土地がどうなっているのかということばかり考えてしまった。

最近の自分は小説よりもエッセイが好きな傾向にあることを再確認した。でもエッセイといっても日記のようなものはあまり読みたくなく、こういう旅行記が一番良い。

瞳をとじて』を観たらスペインの小説が読みたくなった。スペインの海の映像を見てバスクの作家キルメン・ウリベの『ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ』を思い出していた。

 

 

ICC坂本龍一の展示を観に行った。だいぶ前。ICCは良い。

ダムタイプのTIMEを観たいと思っているが……高い!の気持ちでいる間にチケットがなくなりそう。舞台だからそんなものなんだけど、自分にとってダムタイプはやっぱり古橋悌二の作品という印象が強いので、彼のいない場所で作られるダムタイプの作品を観てどう感じるのかわからない。といっても私は当時を知っているわけではないが……。

S/Nを映像で初めて観た時の衝撃が忘れられず、しかし映像は上映会などでしか見ることができないので、5年くらい前にICCの上映会を観に行った。京都にいたときの方が色んなチャンスがあったので、その時に行っておけばよかったと思う。

主催者がもういない劇団というと『悪魔のしるし』もそうで、主催の危口さんが亡くなってしまった時にかなりショックだった。

https://www.akumanoshirushi.com/

今でも搬入プロジェクトはやっているようだし、観に行ってみたい。危口さんがお父さんと一緒に出演していた『わが父、ジャコメッティ』のことがずっと忘れられない。

 

次にどの積読を崩そうか考えていたが、ダムタイプの古橋さんのインタビュー集にしようか。