2020.12.30「能動的年末(だった)」

ガラスコップで指を切ってしまい今日一日がおしまいになった。何もできない!

ただ昨日までは本当に能動的で積極的な最高の2日間を過ごしていたのでその記録だけは書きたい。そうすることでしか今日という一日を消化することができない。

28日
・「非常線の女
早稲田松竹小津安二郎を上映していたので、朝から観に行った。
小津安二郎は芸術系の学科で学んでいた頃はどこかで誰かが話題に出している監督だった。名前を知ってはいたが、名画座にかかっている時でもないとなかなか見るタイミングがない。
非常線の女」は小津作品には珍しい洋ギャングもののサイレント映画。完全に音がなく、映像と間の字幕だけで進行するため、映画館の中にずっと映写機のカタカタという音が響いていて良かった。

マルグリット・ユルスナール「なにが? 永遠が」
ずっと読んでいた本を読了。読了といっても、遺作なので物語は途中で途切れている。
第一次世界大戦前後のパリの様子が克明に描かれていて良かった。バレエ・リュス(ロシア・バレエ)がパリを席捲していた時代に取り憑かれているので、そういった様子が描かれているとがぜん興味が湧く。
ユルスナールの文章は難解だけど読んでいるとだんだん味わいがわかってくる。また読みたいが、有名な「ハドリアヌス帝の回想」は長大なのでなかなか難しいかな。

 

29日
・「フェリーニのアマルコルド
須賀敦子が文章で取り上げていたので気になっていた作品。フェリーニも有名だけど見るきっかけがなかったので、下高井戸シネマにかかっていることを知り観に行った。
少し不気味に感じるほど享楽的な部分もあり、しかし段々と登場人物たちが愛おしく思えてくる。のんびりとした小さな町の風景ながら、ファシズム下の状況の描かれ方も上手くて良かった。そしてニーノ・ロータの音楽がすごい。やっぱり名曲なんだなと思う。
それにしても「○○(監督)の○○(作品名)」という邦題、時々あるけどなんなんだろう。その監督が作っている作品ということが伝わらなければ売り上げが落ちるということだろうか。いつか「三谷幸喜の○○」みたいなタイトルつけられたらマジで嫌だな。

スチュアート・ダイベック「シカゴ育ち」
一気に読み切った。アメリカ文学の一昔前の不良感みたいなものが今いち得意ではなく、だから「キャッチャー・イン・ザ・ライ」も積読したままだが、この作品はそれ以上に雨や夜の描写が美しくて引き込まれた。短編が連なった作品だが、どの短編でも美しい雨が降っている。

・「燃ゆる女の肖像」
気になっていたので観に行った。音楽が本当に少なくて、前半はそれが若干ストレスにも感じられたが、少ない分その印象のつけ方が抜群だった。後半の展開が素晴らしかったな。