Altessimoと天球の音楽

アイドルマスターSideMのAltessimoの曲を聴き続け、「Sphärenmusik(天球の音楽)!!」になったため、
Altessimoと天球の音楽の話をします。

Never end 「Opus」:星々の軌道が奏でる音

天球の音楽とは何か? 詳しくは以下のとおり。

「天球」とは天体がその上を運行すると考えられた地球を中心とする球体のこと。古代ギリシャより、天体の運行が音を発し、宇宙全体が和声を奏でているという発想があり、これが「天球の音楽」と呼ばれた。その響きはきわめて大きいが、つねに鳴り続けているため人間の耳には気づかれないとされる。
(天球の音楽 | 現代美術用語辞典ver.2.0
https://artscape.jp/artword/index.php/%E5%A4%A9%E7%90%83%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD)

古代ギリシャでは、地球は宇宙の中心にあり、その周りを太陽や月、惑星が回っていると考えられていた。

画像1を拡大表示

(https://en.wikipedia.org/wiki/Musica_universalisより)

それぞれの星には距離があり、異なる速度でその軌道を運行している。
この速度の違いが響き合って、音楽となる。
このように、古代ギリシャピュタゴラス派の人々は、星々の周期運動が共鳴することによって「天球の音楽」が鳴り響くと考えた。

太陽と月のように重なり合えなくても
追いかけあう誰かに会いたくて
ー『Never end 「Opus」』

この歌詞を聴いた時、「天球の音楽」のことを思い出した。
天球を走る星々は、常に異なる速度で運行を続ける。決して重なりあうことはなく、互いが互いを追いかけ続ける。
しかしその運動によって、宇宙は音楽で満たされている。

並んで歩くより
響きあえるならその人を選びたい
心拍の メトロノーム リズム違っても
ー『Never end 「Opus」』

彼らの歩幅は重なり合わない。
だからこそ、その音楽が星々の奏でる和声のように響き合っている。

Attacca Scenery:天上と地上を繋ぐもの

ピュタゴラスは音楽を3種類に分類した。

「ムジカ・インストゥルメンタリス(楽器の音楽)」
「ムジカ・フマーナ(人間の音楽)」
「ムジカ・ムンダーナ(宇宙の音楽)」=「天球の音楽」

一つ目の「楽器の音楽」は、楽器によって奏でられる、私たちが耳にする音楽のこと。
しかし「人間の音楽」「宇宙の音楽」は、それとは異なる。
「人間の音楽」は、人間の諸器官が発している音。私たちの耳には聴こえていない、人間の精神と肉体が調和している時に響きあう音楽のこと。
そして「宇宙の音楽」は、宇宙そのものが発する音。これは上に書いた、「天球の音楽」のこと。これも私たちの耳には聴こえていない。

この音楽観は中世に引き継がれて広く知られることになる。
そして中世においては、この考え方に神学的な価値観が加わる。

遠い過去、記された音楽は
神様のために作られていたけど
ー『The 1st Movement~未来の二重奏~』

中世において「宇宙の音楽」は神の国の調和や秩序そのものであり、人間の奏でる音楽は、その秩序を模倣する行為として存在したと想像される。

地上で奏でられる音楽は、神の国ー天上と繋がるためのものだった。

そう、天上と地上 本当はひとつ
共鳴してる煌めく Scenery
ー『Attacca Scenery』

「Attacca」とは、楽章と楽章の間を途切れずに演奏する手法のこと。
たとえば交響曲なら、一つの楽章が終わった後、指揮者は指揮棒を下ろさずに静止する。奏者たちも楽器を構えたまま静止する。そして一息つくことなく指揮者が再び動き出し、次の楽章の演奏が始まる。
それはクラシック音楽から絶え間なく続く音楽の歴史や、Altessimoの二人が歩んできた一つの道のようであり、天上と地上を結びつける、音楽そのものが持つ力のようでもある。

 

……ということを作詞の方が考えていたのかは不明ですが、もしそうだとしたら、クラシック音楽の歴史のことをすごく深く掘り下げて作られていてとても嬉しいなという話でした。

もともとクラシック音楽が好きなので、Altessimoの曲を聴くたびにたくさんの発見があって楽しいです。こういう話をずっとしていたい。

それにしてもAltessimoの何もかもが自分に刺さりまくっていて大変なことになっている。
3rdライブ幕張2日目の『Never end 「Opus」』を見て以来、Altessimoのことしか考えられなくなった。あんなパフォーマンスをアイドルマスターで見ると思っていなかったので......。
Altessimoの二人は音楽で出会い、音楽によって響き合っているというところが本当に美しいと感じています......刻む鼓動が重なり合わないからこそ響き合えるということ....まるでカノンのように.............

Altessimoに演奏してほしい曲コーナー

ラヴェル『ツィガーヌ』

バルトークルーマニア民族舞曲』

プーランク『ヴァイオリン・ソナタ

・リスト『エステ荘の噴水』

・リスト『メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」』

 

演奏してほしいものですね(^^♪