2020.10.9「街と運命共同体」

休みを取ったものの雨。

特に何もする予定はなかったが、せっかくだからの気持ちで全てをやった。

・『生きている東京』

ワタリウム美術館の展示。f:id:otituku:20220219111820p:plain

ワタリウム美術館はずっと行ってみたかった場所だが、ここまで街中に存在するとは想像していなかった。ワタリさんが作ったからワタリウムらしい。

 

f:id:otituku:20220219111903p:plain

これはナムジュン・パイクの展示。
寺山修司が阿佐ヶ谷でかつてゲリラ的に行った演劇『ノック』の記録映像があって、そればかり見入ってしまった。
東京の街の中にたたずむこの美術館が30年間何をしてきたかが展示の中心に据えられていて、まさに『生きている東京』という内容だった。

脳が展覧会用に切り替わったので、そのまま勢いで国立新美術館に行った。

・MANGA都市TOKYO

ずっと気になってはいたが、まあめちゃくちゃ混んでるだろう...と思い行く予定はなかった。
なんとなく検索して予約してみたら全然空いていたので、ワタリウムから歩いて行った。こういうことができることのすごさ、わかってるか自分?
途中間違えて青山霊園を突っ切るコースを選んでしまい、雨の中青山霊園を散策してしまった。

 

f:id:otituku:20220219111937p:plain

ワタリウム美術館が三角形なのと対照的な造形。

f:id:otituku:20220219111957p:plain

そして会場のど真ん中にこれ(東京全体の模型)が据えられており、入った瞬間に爆速でテンションが上がった。こんなことしてたの? 全員行ったほうがいい。

しかもこの展示、奥の画面で東京を舞台とした歴代のアニメやゲーム、映画の映像が流れる。そのたびに舞台となる地域が模型上で光る仕組みになっている。かなり興奮した。

展示はテーマに沿ってさまざまな作品を紹介していく形式。
第一部の東京の破壊と復興が一番印象的だった。あらゆる作品で描写された東京の破壊シーンが並んでいる。創作者はここまで東京を破壊しまくってきたのか。
とにかくあらゆる時代の東京が破壊されまくっている。街が育つたびに破壊され、東京スカイツリーが生まれてなおぶっ壊され続けている。
「いつか大災害がやってくるという宿命づけられた街」といった表現が印象に残っている。この街に暮らす人々は、みな一様に「いつか来る終わり」を強烈に感じながら生きているのだろうか。
2018年のパリでの展示が元なので、『天気の子』が入っていなかったのは残念。東京破壊史に新たなページが刻まれている。

東京という街について、ロランバルトが「空虚」であると表現したという。都市の中心には何もなく、その周縁に大都市が複数栄えるような構造。
東京が「空」を象徴した造形をしているというのはとても面白いし、ロランバルトも上手く言ったなと思う。そういう都市のあちこちにフィクションが生み出されているというのも面白い。
私は東京という街に虚構しか見ていない。フィクションの東京を先に知っている私は、東京に生まれ育った人には見えない景色を見ているのだろうなと思う。逆に生まれた時から東京にいる人にとって、東京を舞台とした物語はどのように映るのだろうか。
東京に生まれ育つ人生をやってみたいとも思うけど、一番近い虚構が逃げ場にならないのも苦しいかもしれない。

雨の中を無軌道に動き回った1日だったが、結果的にとても一貫性のある展示鑑賞ができて良かった。